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教員メッセージ

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古典文学を読み解き現代に通じる人間の普遍性や多様性を知る

日本の中世文学を代表するジャンルの一つ、軍記物語の研究をしています。中でも私が専門とする『太平記』は、南北朝時代(14世紀)の大乱を描いた作品です。『太平記』には700年程前のことが語られています。しかし、そこに描かれている子を想う親、恋人を失い悲しむ女性、必死に生きようとする武者の姿は今と変わらない人の姿です。普遍的な人間の性質を物語る古典文学作品には、現代や未来の問題を考えるヒントがたくさん含まれています。
古典文学を研究するには、当時の文化や思想、社会状況等、作品の背景に広がるさまざまな知識も必要となります。それらを踏まえて言葉と向き合い、作品が語ろうとしている内容を丹念に読み解いていきます。また、異なる時代の下でどのように読まれていたのか、現代人から見た作品の価値はどこにあるのか、等々の研究も行っています。つまり、古典文学研究は時間という縦軸の中で多様な人間の営為を考察する総合人文学といえるわけです。日本ほど古典籍が多く残る国は世界でも例がなく、ぜひその利点を活かして人間への理解を深めてほしいと思います。 早稲田の日本文学研究は坪内逍遙の時代から130年以上にわたる伝統を受け継いでいます。歴史の長さに比例して蔵書や資料が極めて充実し、研究に取り組む上で非常に恵まれた環境です。また、海外の研究者との交流が盛んな上に、古典文学のみならず近代文学や日本語学の学生研究班活動が活発に行われているのも早稲田の文学部らしさでしょう。自らの探究心に沿って教室の内外、キャンパスの内外に学びの機会は広がるはずです。

Profile
和田 琢磨 Wada Takuma
文学部 日本語日本文学コース 教授

早稲田大学第一文学部卒業、同大学院文学研究科修士課程修了、同博士課程単位取得退学。博士(文学)。亜細亜大学経営学部准教授、東洋大学文学部准教授、早稲田大学文学部准教授などを経て、2019年より現職。専門は中世文学。

※掲載情報は2021年度内の取材当時のものです。

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