同じ「価値の分配」の現象として政治と経済をトータルに捉える
政治と経済の相互作用をグローバルな範囲で考える学問が国際政治経済学です。
紛争や安全保障といった国際政治における経済的な要因を考察したり、逆に、貿易や海外投資といった国際経済の政治的な要因を考察したりします。政治と経済はともすると全く別個のものと思われがちですが、どちらも「価値の分配」の社会現象であるという点で一致しています。市場のメカニズムで行われる価値の分配について考えるのが経済学であり、権威や権力による価値の分配に注目するのが政治学といえます。国際政治経済学は、本来切り離されるものではない政治と経済を、もう一度トータルに捉え直してみようという学問でもあるのです。この分野の代表的なテーマに「ドルの法外な特権」があります。米ドルが今日の国際取引で中心に扱われる基軸通貨であることが、アメリカに政治的パワーをもたらしている
という概念です。私が担当する講義やゼミではこうした国際政治経済学の理論やモデルを扱います。これらは抽象度が高く、最初は高尚な議論に感じるかもしれません。しかし理論やモデルを習得することで、日々生じる時事問題について、背景にある要因や構造、今後の推移などを自分で分析できるようになります。また、私たち一般市民の日常的な消費行動や企業の経済活動が、実は国際的な権力構造や利益構造を生み出している繋がりも見えてくるでしょう。本来不可分である政治と経済の両分野を、バランス良く体系的に学べるカリキュラムが本学部の特色です。政治学、経済学、公共哲学の三位一体の知識を磨き、課題への解決策を提案・実行できる人材として羽ばたいてほしいと思います。