幅広く意見を聞いてベストな解決を目指すのが法律
刑法は、誰かが被害を受けた時、悪いことをした人を罰することで社会秩序を守る機能がある法律です。同時に、刑罰制度が濫用されないように国家権力に枠をはめる人権保障機能という重要な側面もありますが、こうした考え方は法律を勉強しないとなかなか出てきません。ただ、そこが学問として刑法を学ぶ醍醐味であり、面白いところだと感じます。
事件が起こると悪い人に重罰を科したいと思いがちですが、本当にそんなに重く罰していいのか、自分が罰せられる立場になった時に納得できる刑罰制度になっているか、を考えることは重要です。時の権力者の思うままに刑罰制度が使われるようなことになれば、自由が失われてしまいます。私たちの日常生活を守るためにも、感情に任せて罰しては駄目なのだと
いうことを突き詰めていくのが刑法の役目です。揉め事が起きた時、みんなにとっていかに良い形で解決できるかを考えるのが法律という学問です。自分だけが良ければいいのではなく、みんなにとって何がベストかを考えることが、法律の最終的な目標ではないでしょうか。学生たちには、幅広くいろいろなところに目を向けてベストな解決を目指す、そういったバランス感覚に優れた人になってほしいと思います。早稲田の法学部は、語学教育も充実しています。法律は言葉の学問なので、語学が重要となります。国際公務員として働くような場合は、言語能力はもちろん、法律的な専門知識があってこそ活躍できるという面があります。国際的に活躍したい人にとって、語学と法律の両者を学べる場として法学部があるということを、ぜひ知っておいてほしいと思います。