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教員メッセージ

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今だからこそロシアの動向をグローバルな視点で捉える

私は学生時代、第二外国語でロシア語を履修して、旧ソ連で進行中だったペレストロイカに強い興味を持ちました。さらにソ連の体制が今後どの方向に進むのかに関心が高まり、それがロシア法研究を志すきっかけとなりました。
ウクライナ侵攻後、多くの国々ではロシアに対するイメージが大きく悪化しましたが、こうした状況でロシア法研究がすべきことは、ロシアの国家体制と法制度がいかなる変動を辿ってきたのかについて客観的かつ実直に分析することではないかと思います。ロシア法研究については、国内体制のみならず国際関係の視点も無視できず、西側諸国でのロシアへの否定的な見方とは対照的に、グローバルサウスの一部の国々では、ロシアの肩を持つような見方もあります。これは西側諸国に対する不満や異なる視点が影響しているからだと考えられ、内外での西側批判がロシアの国家体制の存立や独自性の正当化根拠となっている側面すらあります。ロシアの行動を理解するためには、西側諸国の視点だけでなく、そうした国際社会の力学の観点から分析してみることも重要です。今後、未来に向けて、ロシアについて学ぼうとする人は減少していくかもしれませんが、現在の複雑な状況だからこそ、ロシアや旧ソ連に関するさまざまな動向を把握することが必要です。最近、学生の中でも旧ソ連時代に関心があるという人が見受けられます。未知の国への興味からくる好奇心を大切にしつつ、ロシアに対する理解を深めていくことで、世界の国々の複雑な関係を理解し、新しいグローバルな視点が広がることを期待しています。

Profile
渋谷 謙次郎 Shibuya Kenjiro
法学部 教授

早稲田大学法学部卒業、モスクワ留学、同大学院法学研究科修士課程修了、東京大学大学院法学政治学研究科博士後期課程単位取得退学。修士(法学)。
東京大学社会科学研究所研究員、神戸大学大学院法学研究科助教授、同准教授、同教授を経て、2021年より現職。
専門はロシア法、比較法。

※掲載情報は2023年度内の取材当時のものです。

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