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教員メッセージ

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日本文学を世界的な視点で考え新たな魅力の発見につなげる

日本の近現代文学が世界にどう伝わり読まれてきたかを探る日本の近現代文学の中でも特に、横光利一や川端康成などの新感覚派の作家を中心とした作品について、映画や雑誌、新聞などのメディアとの関わりの中で考える研究を続けてきました。また、戦後の占領期における検閲と文学との相互関連性も、長く取り組んできたテーマです。近代日本文学と聞くと高校生の皆さんは、国語の教科書に出てくる作品を思い浮かべ、「日本国内のもの」というイメージを強く持つかもしれません。しかし実際には作品は海外でも広く読まれ、専門的に研究する人たちも世界中に存在します。日本の作家の作品が世界にどのように伝わり、なぜ関心を持たれてきたのかを、海外の研究者たちと一緒にグローバルな視点から研究するとともに、国際的な研究ネットワークの形成にも力を入れています。
多様性に満ちた環境で常に世界を意識しながら日本文学や文化の研究に取り組めることは早稲田の魅力です。また、図書館の充実度も国内屈指であり、海外からの留学生の中には、図書館を決め手に留学先を選んだと話す人もいるほどです。豊富な蔵書や資料の中でも近現代のものが充実している点が特徴で、これは、文学がまだ一般的に研究の対象とは見られていなかった明治期から、早稲田大学が当時の現代文学を学問として教えてきたことに由来します。建学から今日に至るまで、常に「現在」に関心を向けて教育研究活動を行ってきたことも、早稲田の文学研究の特色と言えます。

文学研究に大切な独自の視点や個性を磨く上で多様性豊かな早稲田の環境は大きな利点に
早稲田大学の文学研究は、坪内逍遥らにより文学科が創設されたことに始まり、130年以上にわたる伝統と知の蓄積があります。長い歴史の中で多くの作家をはじめ、文学の幅広い担い手を世に送り出してきました。いずれも卒業生である村上春樹さん、小川洋子さん、多和田葉子さんらの小説は今、世界中で読まれています。日本の文学が国境を越えて世界に浸透するなかで、早稲田大学も蓄積してきた日本文学・文化の研究成果を国際的に展開する取り組みに力を入れてきました。グローバルな視点から日本の文学や文化を捉えることで、異なる解釈が生じたり、新たな魅力が浮かび上がったりと、さまざまな再発見につながる面白さがあります。人文学の研究では、独自の視点や個性が重視されます。それらを磨くには、自分とは異なる背景や価値観を持つ多様な人々との交流が効果的であり、早稲田の環境はうってつけです。多様性の中で自分を知り、独自の視点や強みを見つけながら学びを深めてほしいと期待しています。

「国際文学館」を開かれた文化交流の場に
早稲田キャンパス内に2021年10月に開館した「早稲田大学国際文学館」(通称:村上春樹ライブラリー)の館長を務めています。本学校友の作家・村上春樹さんの貴重な寄託・寄贈資料をはじめ、日本や世界各国で刊行されたすべての村上春樹作品を所蔵。国内外の方々に開かれた文化交流の場を目指し、作家を招いての文学イベントや学生発案の音楽イベントも開催しています。

海外大学と連携したプロジェクトを展開
スタンフォード大学をはじめとする海外の日本文化研究拠点と連携した国際共同研究や国際シンポジウムなどにも注力しています。UCLAとの連携プロジェクトでは、日本の伝統的な文字「変体仮名」をゲーム感覚で学べるアプリを共同開発しました。取り組みを通して日本文化そのもののグローバル化も目指しています。

Profile
十重田 裕一 Toeda Hirokazu
文化構想学部 文芸・ジャーナリズム論系 教授

早稲田大学第一文学部卒業、同大学院文学研究科修士課程修了、同博士課程満期退学。博士(文学)。2003 年より現職。専門は近代日本文学。早稲田大学国際日本学拠点の拠点リーダー、早稲田大学国際文学館の館長、UCLA のマイケル・エメリック教授と共に柳井イニシアティブの共同ディレクターを務める。

※掲載情報は2021年度内の取材当時のものです。

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