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教員メッセージ

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データを用い国際社会を科学的に研究。より良い意思決定への指針に

計量分析や実験手法を通して国際政治現象を考察
私の研究室ではデータを活用した科学的な国際関係研究に取り組んでいます。中でも安全保障の分野を専門とし、武力行使や同盟、核兵器不拡散、広報外交といったテーマについて、計量分析や実験を通じた実証研究を行っています。例えば過去数百年に起きた戦争の膨大なデータから、国内の貧富の差、地理的条件、他国とのネットワークの状況など、どのような要素が戦争の発生に関与しているのかを回帰分析の手法で調べ、戦争の予測ができます。私自身が研究で醍醐味を感じるのは、自分が立てた仮説が裏切られたときで、なぜならそこに解かれるべき新たな疑問が見つかったことになるからです。近年は国際協力の現場でも援助の効果を計る上で実験手法が用いられるなど、国際政治経済への科学的なアプローチは今や世界の主流となっています。過去のデータを分析し、どのような政策を実行するとどんな結果につながりやすいのかが分かれば、今後のより良い意思決定への助けにもなるはずで、データを通して国際社会を考察する意義はそこにあります。

常にデータの裏付けを持って議論の組み立てを
担当する国際政治経済学演習は「戦争と平和の科学を楽しく学ぶゼミ」と題し、学生が取り組みたいテーマを自分たちで選び、関連する論文を読んだ上で、チームを組んでデータ分析や実験を進めていきます。文献はほぼすべて英語となるため、英語を読む力や書く力も、データ分析の力とともに鍛えられます。そして学生たちに何よりも身につけてほしいのは、国際政治経済を考える際に、エビデンスを持って自らの議論を組み立てるという姿勢です。つまりそれは、「こちらの方がなぜ良いのか」という考えを、感覚や気分に基づくものとしてではなく、実証的なデータの裏付けを示して相手に説得力を持って伝えられる力のことであり、これからの時代のグローバルリーダーに求められる必須の素養にもなっていくでしょう。政治学と経済学は、どちらも社会における意思決定について考える学問という点で共通しています。相互の影響や相乗効果を捉えながら学びを深めていけることも、国際的な視野で政治学と経済学の融合を図る本学部の良さと言えます。

Profile
多湖 淳 Tago Atsushi
政治経済学部 教授

※掲載情報は2019年度内の取材当時のものです。

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