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教員メッセージ

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低温での触媒反応を活用し持続可能なエネルギー社会へ

常識を覆す低温での触媒反応のメカニズムを明らかに
地球は宇宙から見ると物質としては「閉じた殻」で、太陽エネルギーを受けながらも、私たちはエネルギーの多くを地中に蓄積された化石資源から得ています。これらの限りある資源に頼る世界を変え、閉じた殻の永続性を担保できるエネルギーを化学の力で作ること。そのために、物質を高温にして化学反応が起きるのを待つ従来のやり方でなく、「鳴かぬなら鳴かせてみよう」と能動的に反応が制御できる触媒を研究すること。この2つが私の研究テーマです。触媒は、化学反応の速度を速めるなどの役割を持ちますが、反応促進は非常に高温な状態で起きることがほとんど。例えばパラジウムを触媒にメタンから水素を作るには700度以上の高温が必要です。しかし私たちはこの反応系に弱い電位をかけると150度程度の低温でも水素が生成されることを確認しました。これにより次世代エネルギーの一つである水素を、CO2やメタンなど普遍的な材料を使って、必要なときに必要な分量を作れる仕組みが構築でき、クリーンで持続可能なエネルギーを低コストで生み出せると考えています。

未来の社会のために、誰もやっていない研究に挑戦を
電位による触媒反応の促進のメカニズムをもとに、化学原料などの製造をはじめ多様な分野への応用を進め、現在は自動車会社や化学メーカーなどさまざまな企業との共同研究で、実用に向けた技術開発を行っています。さらに基礎研究を深め、学理を確立させ、実用化が近づく10年後には触媒反応の教科書を書き換えたいと思っています。世界中で当研究室だけが行ってきた研究で成果を出せたのは、オリジナリティーを重視してきたからです。学生たちにも「世界に存在せず、必要とされているものをつくる」テーマを求めています。また「真実に迫る深い穴を掘るにはまず広く掘る」必要があり、研究室の有志と新聞を読む会を毎週開き、視野を広げています。高校生の皆さんも人類の叡智がまとめられた本と、現在の世界を体系的に知るための新聞をぜひ読んでください。先進理工学部は志の高い学生が多様性や意外性に満ちた仲間とともに人間力を培い、人や組織を率いて社会を変える人材に育つ絶好の場。未来の社会を考え、必要な未踏の研究にチャレンジしてほしいと思います。

Profile
関根 泰 Sekine Yasushi
先進理工学部 応用化学科 教授

※掲載情報は2019年度内の取材当時のものです。

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