多角的な切り口からヨーロッパ社会の現状と課題に迫る

EU加盟国の国籍を持つすべての人には、EU市民としての権利が認められています。このEU市民権が各国で実際にどのように制度化され、また、市民としての意識を育むための教育がどのように行われているのかを研究しています。EU市民権の一つに、EU域内における「人の移動の自由」があります。この恩恵は私たち外国人旅行者にも及び、日本からひとたびEU域内に入れば、出入国審査なしで国境を越えて域内を旅することができます。遠い世界の話に見えるEU市民権が、実は身近なものだと気づくでしょう。多民族・多文化社会であるヨーロッパの国々が、いかにして自由や平等、人権を守りながら平和的に共存する道を模索し、実行してきたのか。その過程や課題を多角的に学ぶことは、外国人労働者が増加する日本のこれからの社会のあり方を考える上でもヒントになるはずです。
社会科学部はそれ自体が総合大学・早稲田の縮図と言えるほど、分野のバラエティに富んだ教員と多彩な科目がそろっています。身の回りや世界で実際に起きている事象や課題について、その読み解き方や解決の糸口を、複眼的かつグローバルな視点で探究できるのが特色です。大学生活の中では、多くの人との出会いを通して知らなかった世界が広がり、まったく新しい興味関心や問題意識が芽生えることもあるでしょう。そうした場合でも、同じ学部にいながら、知的探究心を満たすあらゆる科目が見つかることも社会科学部の大きな魅力だと思います。