世の中に新たな価値をもたらすイノベーションの規則性を探る
経営学の中でもイノベーションを専門に研究しています。
イノベーションとは、経済的な価値をもたらす新しいモノゴトを指します。日常的に次々と世に出る新しい商品やサービスの中で、経済的な価値をもたらすものは実はごくわずかしかありません。世の中に特許技術は何万とありますが、実際に経済的な価値を生み出している技術はほんの一部です。こうしたイノベーションはどのように生まれ、そこにどのような規則性があるのかに着目し、歴史的に分析をしています。経営学の多くの領域ではこれまで、「全体の平均をどう上げるか」「効率性をいかに高めるか」に主眼を置いた研究が行われてきました。これに対しイノベーション研究は、他から大きく離れた「外れ値」に目を向け、革新的な技術や発想、突出した人材はどう生まれるのかを探るもので、従来の経営学の考え方が当てはまらない側面があります。例えば、生産性の向上を目指した組織づくりと、イノベーションを促す組織づくりでは、必要なマネジメントが異なることが分かっています。研究の進展の余地が大きく、最先端を切り拓ける魅力的な分野だと感じます。イノベーションの性質を知ることで、それを戦略的に活用することが可能になります。商学部でイノベーションを学んだ学生には将来、企業や組織において自らがイノベーションを生み出したり、あるいは中長期的な視点でヒト・モノ・カネなどの経営資源を配分してイノベーションを後押ししたりする役割を期待します。イノベーションの担い手、すなわち資本主義社会で世の中をより良く変えていく主役として、各分野で力を発揮してほしいと願っています。