グローバル経済における貧困をジェンダーの視点から考える
平和の反対は戦争ではなく暴力というのが、私が専門とする平和学の考え方です。
暴力には直接的暴力、構造的暴力、文化的暴力の3つがあります。この3つの暴力について、現在どういった問題があるのかを幅広く考え、その問題の克服を目指すのが平和学の目的です。そのため実践的な学びを重視します。私は今よりもアジアが貧しかった時代に、なぜ途上国と先進国の格差が生まれるのかというところから研究をスタートさせ、フィリピンの農民運動を調査していましたが、フィリピンの女性が移住労働で出稼ぎに行く状況を見ていく中でジェンダーにも関心を持つようになりました。最近は先進国の中にも貧困の問題があり、逆に途上国の中に豊かな地域が生まれるといったように、国単位ではなく、グローバル経済の中で生じる貧困やマイノリティ、抑圧されている構造に置かれた集団や空間があるので、それをジェンダーの視点から考えるとともに一緒に解決を考えていきたいと思っています。平和は、日常的な空間における関係性です。学生たちには、組織の中やプライベートな関係、紛争地域や国際協力など、どんな場面においても自ら平和を創造する人になってほしいです。社会科学部は幅広くいろいろな分野を学べるので、複合的な視点を養えることが特長です。多くの分野、科目を揃えているので、今は明確な目標がなくても、大学に入ってからやりたいことを見つけることができるでしょう。もちろん、好きなことがある人はそれを追究していってほしいと思います。いろいろな人に出会い、海外に行き、さまざまな体験を通して自分のやりたいことを見つけ、人としての幅を広げていってください。