言葉以外の情報伝達方法にも注目しコミュニケーションを多角的に研究
人はコミュニケーションを行うとき、言葉以外にも、身振りや視線、表情、姿勢など、複数のモダリティ(様式)を用いてメッセージを伝えています。私の研究室ではこうしたマルチモーダルコミュニケーションの様相とそれ
を支える言語・認知能力について研究しています。
例えば皆さんの周りの友達や家族、先生の中に、説明や話が上手だと感じる人はいないでしょうか。その人が話す内容だけでなく、声の発し方や視線、身体動作も含めて細かく観察することで、何が情報の伝わりやすさに関係しているのかが見えてきます。また、メッセージを伝達する際に使用する身振りなどの身体動作は、メッセージの生成自体に寄与していることもわかっており、本研究室の一つの研究テーマとなっています。日常の相互作用から生じる疑問も研究テーマとなり、普段のコミュニケーションがどのような仕組みで成り立っているのか、さまざまな発見を得られることもこの分野の面白さです。
人間科学部の特色の一つは、「人間とは何か?」という問いについて、心や身体、社会、環境との関わりも含めて深く探究できる点です。私はコミュニケーションを切り口に、この根源的な問いにアプローチしています。コミュニケーションはさまざまな要因が絡み合った複雑な現象ですから、多角的に理解する必要があります。そのためには、幅広い専門領域から知識を得ることが不可欠であり、文理の垣根なく領域横断的に学べる人間科学部は最適な環境といえるでしょう。私たちが日々何気なく行っているコミュニケーションの多面性や奥深さにぜひ触れてほしいです。