人間を中心に据え使いやすく安全な建築や都市を追究する
建築や都市は、人間が利用することを目的としています。人にとっての「使いやすさ」「分かりやすさ」「安全」などの観点から、建築、都市、インテリアについて、どのように計画や改善を行えば良いかを考えるのが建築人間工学です。例えば、人の体の寸法や、人が自然に行う行動に合わせて家具をデザインすることで、使いやすさや安全性は高まります。バリアフリーやユニバーサルデザインもこの分野の中心的なテーマです。研究の対象は非常時の備えにも及び、高層や大型の建物からのスムーズな避難を可能にする設計や誘導について、企業・自治体と連携した研究にも取り組んでいます。
建築人間工学の特色の一つが、研究手法として、行動観察や心理評価、フィールド調査などを目的に応じて用いる点です。そこで得たデータを元に分析を進め、問題解決の提案を図ります。定量的な分析だけでなく、心地よさや楽しさといった数値で表しにくい側面にもバランス良く目を向けることが重要になります。心理学や社会学、脳科学など、人間科学部の多彩な学問領域が活きる分野でもあるのです。
私たちの周りには、視界には入っていても見えていないものが多くあります。学びを通してものを見る目を養い、新たな発見をする楽しさを体感してください。興味の幅が広くて絞りきれない人や、高校で文系にいるけれど建築や都市計画に関心があるという人にも、文理の枠を超えた幅広い学びができる人間科学部をぜひ選択肢に入れてほしいと思います。