子どもたちの健康を損ねる「座りすぎ」の解決を図る実践研究
スポーツ科学部は選手のパフォーマンス向上の指導や研究だけでなく、学部が持つ6コースの特色を活かした多様な教育研究が可能です。例えば私が所属する健康スポーツコースでは、身体活動が健康に与える影響などをテーマにしています。
その中で、私は子どもから高齢者を対象に、肥満・過体重、心臓疾患、糖尿病をはじめさまざまな健康リスクを高める「座りすぎ」の問題について、社会環境の視点から解決策を探っています。職場や自宅などでは座位が当たり前になっていますし、子どもでも授業中は着席して過ごし、スマホゲームや動画視聴で座っているなど座位の時間は非常に長いのです。
これらの座りすぎは、本人を取り巻く環境に起因するため、例えば職場や学校に立って利用するデスクを導入する施策などで、一度に多くの人の健康増進を図れる可能性があります。すでに海外の研究では「立位で授業を受けると集中力が増す」といった学力向上に期待できる効果も認められています。
とはいえ、教育現場を変えるにはかなりの労力とコストが必要でしょう。そこで私はまず学校や保護者に座りすぎのリスクの理解を深めてもらい、周囲から子どもに働きかけることで、座位の時間が長い現状が改善されるかなどを調査・検証しています。
このように健康に関連した社会課題を実践的に研究ができるのもスポーツ科学部の魅力。身につけた知識や問題解決力は、健康というテーマの普遍性と併せて、社会のどの分野でも活用できると思います。