大規模なアンケート調査を通じて集団の特徴を見出す
パーソナリティ心理学は、簡単にいえば人間の性格や気質を研究する分野です。私は青年期以降を中心に、年齢とともに性格や気質がどのように形成され、どう変化していくのかをテーマにしています。
年齢や地域といった集団としての特徴や時代による変化などを調べるため、ネット調査ツールを使って数千人から数万人規模でアンケート調査を行い統計的に分析します。例えば、外向性という特徴は年齢による変化が少ない一方、協調性は思春期に下がった後、成人期を通じて上がることが分かります。また、社会的、経済的な指標と組み合わせると、アメリカでは芸術、文化、音楽などが盛んな地域では解放性という特徴が高く、特許の出願数が高い地域とも重なるなど面白い特徴が見えてきます。さらに、こうした調査を長年継続することで時代の変化が見えてきます。このように性格以外の要素との関連を調べることで、一見、関連がなさそうな活動に実は関連があることが分かり、性格(気質)を軸に人間活動を整理することもできるのです。興味関心の赴くままに、学問領域を横断してさまざまな分野を学べるところが、文化構想学部の特長です。文化構想学部には、文学部と合わせると人文系の学部としては全国でも最大規模の教員が在籍し、1000を超える科目が用意されていて、大学に来ればネットに繋ぐだけで数多くの本や論文にアクセスすることができます。どんな分野でも、1回は触れておくことが重要です。多様な価値観に触れることで自分の視野が広くなり、物の見方や考え方、知識に幅が出てくるのではないでしょうか。そこに広く学ぶことの意義があるのだと思います。