「分からないこと」を素通りせず、向き合い考え抜く姿勢を大切に
多様な数学を道具に用いながら整数について研究
整数論は、整数そのものの性質や、さまざまな方程式の整数解について探究する分野です。整数論の問題は素朴なように見えて極めて難解であることが多く、整数だけに目を向けていても根本の性質を明らかにすることはできません。そこで数学者たちは研究の歴史の中で、整数論の難題に立ち向かうために解析学や代数幾何学などの多様な数学を道具として取り入れてきました。私が研究している保型形式論もその一つで、フェルマーの最終定理の解決にも重要な役割を果たした解析的手法です。このように、一見無関係なものが問題解決の糸口となり得ることも、整数論の奥深さと言えます。
専門の枠を超えて学びを広げやすい仕組みも魅力
数学について幅広くアンテナを張ることは日々の学びでも大切で、学生には特定の専門しか分からない人にはならないようにと伝えています。また、大学の数学では答えを出すだけでなく、その答えに至るまでの道筋を理解し、人に説明することが求められます。だからこそ普段から、少しでも分からないことがあれば素通りせず、向き合い考え抜く姿勢が欠かせません。そうして鍛えられた思考力はあらゆる場面で強みとなるでしょう。基幹理工学部は基幹共通科目や副専攻制度など、専門分野以外の学びの選択肢の多さも魅力です。個々の学生が関心に沿って、自由に探究を深められるよう、手助けしたいと考えています。