学生時代に培った理論化学を活かし、 鉄鋼材料の品質をさらに向上させたい

ライフサイエンスに興味があり化学・生命化学科を選びましたが、分野の枠にとらわれず 学ぶ中、理論をもとに思考を積み重ねて化学現象を解明する理論化学への志向が強 まりました。4年次から中井浩巳研究室に所属し、原子・分子の性質を決定づける電子 の状態を解明する研究を修士課程まで続けました。就職活動ではあえて研究分野に こだわらず、「多様な製品の元となる材料を作る企業で広く社会の役に立ちたい」と いう希望のもと、日本製鉄(当時は新日鐵住金)に入社しました。研究職として技術 開発本部の研究所に配属され、工場の製造工程で生じる課題解決などを担当した 後、実験ではなく計算によってさまざまな研究を支援することに取り組むように なりました。所属している部門では、鉄鋼材料に求められる強度や柔軟性など の特性が、製造工程や成分組成でどう変化するのかをコンピュータシミュレー ションで予測する研究が進められています。学生時代に培った理論化学や 計算化学が活かせる私に適した仕事だと感じています。会社からは最新の計算 方法を学ぶようにとの勧めもあり、2017年から早稲田の大学院博士課程 に入学するなど、今も母校との関わりは深く、毎日が充実しています。