温室効果ガス削減のための技術をエクセルギーの観点から開発する

高校生のみなさんは、エネルギー保存則をご存じでしょうか。
基本的にはエネルギーは使っても保存されると習っていると思いますが、実際には、自動車を走らせたり暖房を使ったりすると燃料はなくなります。
このときに消費されている実態をエクセルギーといいます。
私は、そのエクセルギーの観点から温室効果ガスの削減に資する研究をしています。
研究テーマのひとつが、岩石の風化促進です。
鉱物のなかには、大気中のCO2を吸収して永久的に固定化できるものがあります。
この反応は自発的なものなので、固定化のために新たなエクセルギーを投入する必要はありません。
しかし、反応速度がとても遅いため、これを促進する研究を行っています。
将来的には、全世界で現在の日本の年間排出量と同程度の年間10億トン程度のCO2を固定化することを目指しています。
また、海水中に豊富に含まれているマグネシウムから回収した酸化マグネシウムを材料とし、CO2を固定化して炭酸マグネシウムを得る技術の実証試験も進んでいます。
得られた炭酸マグネシウムは、コンクリートやモルタル、ボード材といった建材として利用される計画です。
このような技術は温室効果ガスの削減に必要ですが、200年後には必要なくなるかもしれません。
しかし、いまこの時代に必要とされる技術の開発に携われることに、研究の醍醐味を感じます。
創造理工学部は、社会との接点が多く、まさに実学の学部であると思います。
研究成果を社会に実装するという最終的な目的のために、産業や社会との強力なパートナーシップのもとで研究ができる点に学部の魅力があります。
そうした研究をしたいと考えている学生のみなさんに、ぜひ来ていただきたいです。