光と電波を融合した通信技術で地球全体が常時繋がる未来へ
自動車や家電などの先端産業では、鉄や銅といったベースメタルとともに、多くのレアメタルが使用されています。これらの金属資源の大部分を日本は海外からの輸入に頼っていますが、資源は有限であり、枯渇が危惧されています。これは見方を変えれば、人類によってすでにたくさん使用された金属が、身の回りの製品の中に存在していることを意味します。私の研究室では、「都市鉱山」とも呼ばれる使用済みの製品から、有価な金属を効率的に回収する技術の開発に取り組んでいます。
最近の例では自動車会社と連携し、1500℃という高温で溶融する方法を用いて、電気自動車の使用済みモーターからレアアースを分離・回収する技術を確立しました。金属リサイクルを達成することは、海外からの鉱石の輸送や金属製錬で生じるCO²排出量を削減することにつながり、また資源循環社会の実現にも結び付きます。金属製錬において長い歴史と高度
な技術を有する日本が、持続可能な社会に向けて世界をリードし得る分野でもあると思います。社会的ニーズがあるけれどまだ実現できていない課題や、企業が実際に抱える課題が研究対象であることにも、挑みがいを見出せるでしょう。「人間」「生活」「環境」をキーワードに、社会が直面する問題を科学技術の観点から解決し、新しい豊かさの創造を目指す創造理工学部では、それぞれの研究室が具体的な現場(フィールド)を持っていることが特色です。自然環境や人工的環境、あるいは民間企業や公共団体など、実際の問題や課題が存在している現場に身を置き、明確な目的意識や目標を持って研究ができることも本学部の魅力だと思います。