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ゼミ紹介

Seminar

分子レベルのものづくり ――医農薬や材料を斬新な方法でつくる

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分子は機能の最小単位であり無限の組み合わせが存在します。化学はそれら分子を自在に組み上げる「面白さ」を体験できるだけでなく、化学者の工夫により無限の「可能性」を宿らせることができます。分子の自在な組み立てを実現できるのは合成化学(有機化学)。この合成化学の発展に資する、ぼくたちの研究は以下の3つ。
   「分子をつなぐ」「分子をぶっ壊す」「面白い分子をつくる」
これらの極めて基本的な命題に対して、独自の合成戦略と分子触媒で分子構築の匠を目指します。標的とする分子は医薬品や農薬、有機材料など多岐にわたります。

研究室DATA

山口潤一郎 教授(先進理工学部 応用化学科)
所在地:早稲田大学研究開発センター121号館

http://www.jyamaguchi-lab.com/

 

Work

3つの命題のなかの「分子をぶっ壊す」って?

 インタビューをした応用化学科の山口研究室では、有機合成化学を専門として研究を行っています。つまり、分子(化合物)を混ぜ合わせて、新しい化合物をつくるという研究です。ただ混ぜ合わせるだけでは、もちろん分子はつながりません。いろいろな工夫をして混ぜ合わせなければいけないんですね。その工夫の1つが、有機反応を促進する「触媒」です。独自の触媒を分子レベルでつくりあげて、その触媒の力によって、新反応を開発することにも力をいれています。

 一方で、3つの命題としてあげている「分子をつなぐ」「面白い分子をつくる」はなんとなくわかるんですが、「分子をぶっ壊す」ってなんなのでしょうか。山口先生に聞いてみました。

山口先生「分子をつくるのもぶっ壊すのもコインの裏と表と同じなのです。分子をつくるときには分子を壊さないとできない。その壊す方に力を入れた研究です。多くの人はつくるほうに力をいれているので、そういう意味ではユニークな研究ですね」。

 いまいち哲学のようでいっていることはわかりませんが、とにかくユニークな反応や分子を開発していて、大学のホームページでもたくさん紹介されています。

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ダンスするように反応する新反応「エステルダンス反応」(図左)。植物の生物時計の時間を変える分子「AMI-331」。名前の由来は開発者の学生「杏実」から(図中)。7人の小人分子。7つそれぞれに異なる性質をもたせることができるらしい(図右)

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研究室がピカピカ。新しい121号館に移動

 山口研究室は2020年の6月から、理工キャンパスから戸山キャンパスの付近にある早稲田大学研究開発センター(121号館)へ移転したそうです。早稲田大学が研究力を高めるために新設した研究棟です。大隈講堂の近く、1階にタリーズが入っているおしゃれな建物で、山口研究室はその3階にあります。
 研究室の中にはさまざまな最新鋭の装置が揃っており、加えてガラス器具などの実験器具などが所狭しと(広いですが)並んでいました。

 昼夜問わず研究を行う学生が多いとのことですが、いるだけで活気を感じられる山口研究室。研究結果もさることながら、学生たちは何事も全力で行っているようで、その様子が研究室のホームページで垣間見えます。

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コーヒーサーバーのような機械。分子の大きさによって異なる分子を分離できるそうです(写真左)。溶媒精製装置と呼ばれる装置。分子を溶かす溶媒もきれいで、水や空気を完全に除いたものを使うとのこと(写真右)。

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黒と早稲田のえんじ色を基調とした研究室(写真左)。亀の甲「ベンゼン環」を模した鏡が素敵(写真中)。360℃見渡せる会議室も。2020年に建てられたばかりだそうでピカピカです(写真右)

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実験結果で分子の構造を解析中。

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実験ノートも山口研究室ではタブレットをつかって記録しているそうです。

Message

先生からのメッセージ

 
化学は役に立つといわれて、化学科に進みました。1,2年生の講義に化学がなさすぎて、大学をさぼりがちになり、ついには留年も経験しました。一番キライだった有機化学の研究室を選んだのは、恩師が熱意をもって、心底楽しそうだったから。知らずのうちに分子レベルのものづくりに魅せられて、大学の先生になりました。研究は寝食を忘れるぐらい楽しいですよ。それまでは、退屈なこともあるかもしれませんが、楽しむためにはやっぱり基礎固めが重要なので、がんばって勉強してください!

先輩からのメッセージ

博士2年・浅子貴士さん
博士2年・浅子貴士さん
電池に関する研究がしたくて、応用化学の他の研究室を志望していたのですが、縁あって山口研究室に所属になりました(1期生)。一番苦手であった有機化学ですが、いまでは毎日自分の分子が夢にでてくるほどハマっています。医薬品の候補分子である複雑天然物を人々があっといわせる方法でつくって供給することで、社会に貢献できればと思っています。

先輩からのメッセージ

修士1年・武者樹さん
修士1年・武者樹さん
高校のときから実験が好きで、実験ができる応用化学科に入学しました。学部生のときは好きな実験はできましたがレポートは大変だったのを覚えています。今は安定な化合物を壊す新反応の開発をしています。うまくいかないときのほうが多いですが、目の前で教科書を変えるような発見をできたときの感動はやみつきになりますよ。やっぱり実験は最高です!

先輩からのメッセージ

4年・久保真之さん
4年・久保真之さん
英語の勉強や、人と話すことが好きで大学生活ではいろいろ経験しましたが、山口研究室の雰囲気や皆が楽しそうに研究をしているのをみて、研究や実験にのめり込んでみようと一念発起しました。コロナ禍であまり研究できないときもありましたが、いまは自分の名前のつくような反応の開発に夢中です。大学の先生になって、この面白さをみんなに届けられたらと思っています。
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