電気の「カタチ(?)」をシミュレーション コンピュータ援用電磁工学
「電気エネルギー」に焦点を当て、無駄のない利用、上手な貯蔵、環境負荷などについて研究する。たとえば、目に見えない「電磁現象」をコンピュータでシミュレーションする技術、太陽光発電といった自然エネルギーの活用技術などが研究対象。コンピューターに人間の知恵を最大限にプラスしてうまく使い、工学に応用するのが腕の見せ所だ。
Work
電気を無駄なく使う方法を探せ!
私たちの暮らしにおいて最も身近なエネルギー、「電気エネルギー」。現在、環境問題の観点からも既存のエネルギーを効率よく使い、新たなエネルギーを開発することが求められていますが、その方法について研究しているのが若尾研究室です。「電気エネルギーの研究で困るのは、電気は見えないということ。そこで、コンピュータ上で物理現象を再現して、見えるようにする。そうすると、モーターなんかでも『ここがちょっと無駄なんじゃないか』ということがわかります」。
そして、個々の機械だけでなくシステム全体を見て、もっともあるべき姿とはどんなものかを考える研究も行っています。たとえば電気エネルギーの供給には、巨大なネットワークシステムが構築されていますね。このシステムのある1つの性能を改善しようとすると、よくあることなのですが他の性能が落ちてしまう。この中で、最もバランスの良い改善点を見つけ出すためにコンピュータで隠れた情報を掘り起こして判断するのだそうです。
地球の未来に直結した研究
具体的な研究内容をうかがうと、「太陽光発電で日射量の変動を予測する技術(修士1年・鈴木 孝宣さん)」「生物の進化を模した“遺伝的アルゴリズム”を用いた、性能のいいモーターの設計(修士1年・鶴見 祐輔さん)」・・・さすが修士ともなると高い専門性が求められます。「研究内容が直接世界に役立つところが魅力。もちろん理解するのは大変ですけどね(修士2年・高安 健太さん)」。やっぱり専攻している人にとっても難しいんですね!(当たり前です) ただし、「高校までの勉強とは全然レベルが違って苦労した科目が、若尾先生に教わってすんなり理解できたり(修士2年・佐藤 勝則さん)」と、若尾先生は例え話がうまくて、説明がとてもわかりやすいそうです。
また、若尾研究室では、世界各国で開かれる国際会議への参加も推奨されいます。先生によると、自分の研究内容を知ってもらうためにみんな本気で準備し、立派にやりとげて帰ってくるとのこと。「学会終了後の観光の方が楽しみみたいなんですけどね(笑)」。
インタビュー中も和気あいあいとした雰囲気の若尾研究室。「研究」と「楽しい学生生活」のバランスの良さは、西早稲田キャンパス随一!?との噂です。
「雰囲気がいい」ことで知られる若尾研究室。「先輩に誘われて富士山に登って来ました!」「ソフトボール大会には先生も参加」など、楽しいエピソードには事欠きません。写真はソフトボール大会用に作ったオリジナルTシャツ。
コンピュータを用いて再現した、同期モータ内部の電磁現象。目に見えない現象をコンピュータ上で再現してさまざまな情報を抽出し、機器の設計に活かします。
修士1年・鈴木 孝宣さん
修士1年・鶴見 祐輔さん
修士2年・高安 健太さん
修士2年・佐藤 勝則さん
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人間はどこまで動物か ―新しい人間像のために―
アドルフ・ポルトマン著/高木 正孝訳(岩波新書)
人間の新生児と聞いてどんな様子を想像します? 生まれてすぐ立ち上がるゾウや誕生第一日目から運動能力のあるサルの赤ちゃんと違い、母親の助け無しには一日も生きながらえることのできない弱々しい姿が目に浮かびますよね。これは、高等哺乳類の中で人間だけに見られる例外的な状態です。・・・なぜか?
とても古くて堅苦しい文面ですが、人間について多くを考えさせられる一冊です。社会に出る前、結婚する前、親になる前に、自分の人間観を築いておく一助になりますよ。