言語とともに異文化間のコミュニケーションを学ぶ 「グローバルコミュニケーション・スキルズ」

「国際コミュニケーション能力養成」を目標とするプロゼミ(総合教育科目演習)(※リンク先の下の方)で、1年生から参加することができます。コミュニケーションの上で必要な他者理解と自己表現のスキル養成のため、英語の敬意表現の研究、時事英語を通じた国際時事問題の理解などを通じて英語を学びます。早稲田大学のリアルタイムチャットシステムや掲示板システムを使って海外の大学の学生と学び合ったり、交流大学を訪問して研究内容をプレゼンしたりという実践の場も用意されています。
研究室DATA
鈴木 利彦 准教授
グローバルコミュニケーション・スキルズ(商学部 総合教育科目演習)
所在地:早稲田キャンパス14号館
Work
海外の学生と交流しながら学ぶコミュニケーション
どんな分野に進もうとも語学力は不可欠な時代。主にビジネス界での活躍を期待される商学部生も英語を身につけようとがんばっていますが、「コミュニケーション・スキル」とは、単に英会話力が上達することとどう違うのでしょう? 「ゼミで、異文化コミュニケーションに必要な能力のリストを作っているんですが、語学力のほかには国際的ニュースの知識、文化的知識、対人関係構築能力、人的ネットワークを作る能力、伝えるべき内容を自分の中に持っていることなどがあがっています」(鈴木先生)。ビジネス上でも、最低限通じればいいという姿勢では理解にズレが生じ、信頼を得ることも難しくなります。自分の希望を述べるときに、相手のことを考えた伝え方ができるかどうかで人間関係は変わってくるということでしょうか。
ゼミは、各席にパソコンが用意された教室で、ITをフル活用して行われます。海外の大学生と実際にコミュニケーションを取りながら学べるのがこのゼミの大きな特徴。早稲田大学で実施されている「CCDL(Cross-Cultural Distance Learnig)授業」の導入により、リアルタイムチャットや掲示板を使って、現在はサンフランシスコの学生と文章を添削し合ったり、ディスカッションをしたりしています。ここで学んだことは、あとで資料にまとめ、プレゼンを行うのだそうですが、プレゼン資料もゼミ生同士オンラインで共有し、意見を述べ合ってよいものを作り上げていくとのこと。
また、年に一度のゼミ合宿では海外の大学を訪問し、現地の学生と生で交流する機会が設けられます。先生、ゼミ仲間、海外の学生と、あらゆる方向からフィードバックを得て、自分の勉強を発展させていける環境が用意されているのです!

掲示板を使って、海外の大学生とコミュニケーションを楽しみつつ、文章を添削し合います。

今年の9月に実施された、ゼミ旅行を兼ねた台湾の交流大学訪問では、参加者全員が研究成果を英語でプレゼン。ここで親しくなった台湾の学生さんとは、SNSで交流を続けているとのこと。
相手のことを考えながら自分の意思を伝える「敬意表現」を考える
「敬語」「敬意表現」は単なる形式ではなく、相手を尊重するためのもの。英語でもやはり「相手のことを考えた表現」は重要です。日本語で丁寧に話すと表現が長く、間接的になっていきますが、英語も同じ。「Will you~?」「Could you~?」「Would you mind~?」「I was wondering if~?」となっていきます(ズバッと言うと高圧的!)。「言語は人間の社会で使用されるものだから、対人関係を意識しながら使う必要があるんです。10円借りたいときと、1万円借りたいときとでは言い方も変わるでしょ?」という鈴木先生の解説には納得! 「さらに、謝るときI'm sorryだけじゃなくて理由を言うとか、次は絶対しないと誓うとか、埋め合わせを提案するとか、そういうストラテジーを組み合わせて、人は最適な伝え方をしようとするんです」。なるほど、語学だけでなくそこまでトータルで考えるのですね。
コミュニケーションを学ぶだけあって、授業、オンラインのアクティビティ、合宿と積極的に参加することが求められる本ゼミ。「1年生から4年生まで、他学部や他大の人、英語が得意な人不得意な人もいて多様性があるけど、みんな共通して、もっとうまくなりたいという気持ちがあるので刺激になります。このゼミを適当に取っている人はだれもいない、そういう空気がいいですね」と、2年生の守時愛里さん。同じく2年生の山村勇歩さんによると、「先生が真面目でまっすぐな人なんで、ゼミ生も影響を受けてます」とのこと。みんな真剣というゼミのカラーは、先生に負うところもあるんですね。「先生は高所恐怖症で、歌がうまくて、話すとおもしろくて、みんなに愛されてます!」

このゼミでは、ITの活用にも力を入れています。各自の席に設置されたパソコンで教材を見、自分の回答や意見を記入し、みんなと共有するなど学習効果を高める設備を積極的に活用しているとのこと。

先生が自身の研究のためにアメリカの大学で収集した事例ビデオの一場面。話者と状況によって、同じ内容でも表現が変わるということが一目瞭然です。週末のイベントに仲間を誘い、それに返事をするというシチュエーション、写真の体育会系男子はどんな表現をするでしょう?
Recommend
このゼミを目指すキミに先生おすすめの本
英語のソーシャルスキル
鶴田 庸子、ポール・ロシター、ティム・クルトン共著(大修館書店)
英語の敬意表現
大杉 邦三著(大修館書店)
英語の敬語
数佐 尚美著(中経出版)
敬語の英語
ディヴィッド・セイン、佐藤 淳子共著(The Japan Times)
失礼な英語・丁寧な英語
ディヴィッド・セイン著(アスコム)