自らプランニングする体験を通し 「コミュニケーション」を考える 現代広告研究・嶋村ゼミ
広告を研究するゼミというと、ユニークなアイディアを盛り込んだテレビコマーシャルの企画や制作をしているのではないかと思うかもしれませんが、そういうことではありません。メディアの環境が大きく変わり、人の行動や考え方に影響を与えるメッセージも多様になっている今、企業が抱える課題を解決するためにどのようなコミュニケーションをする必要があるのかを考えるのがこのゼミです。昔からある「広告」の概念にとらわれず、企業と人、企業と企業、人と人とを結びつけるコミュニケーション全般の研究を通して、経済、社会、文化を考えています。
研究室DATA
嶋村 和恵 教授
嶋村ゼミナール(商学部)
所在地:早稲田キャンパス11号館
Work
グループワーク中心の「本ゼミ」と「サブゼミ」
広告やマーケティングコミュニケーションをテーマとした嶋村ゼミには、正規授業の「本ゼミ」と、自主的な活動をする「サブゼミ」があります。
まず「本ゼミ」。3年生は広告業界の最新動向や具体的な事例を解説した本を教科書として使い、章ごとに4~5人のグループで読み込んで内容を発表します。広告を研究するゼミらしく、パワーポイントを使って説明する、プレゼンテーションスタイルです。
そして「サブゼミ」では、企画を練ってビジネスコンテストに出したり、企業で働くOBから依頼された課題に取り組んだりしています。例えば昨年は、某ビール会社に勤務しているOBから季節限定ビールの販売促進企画を立てるという課題をもらい、グループでアイディアをまとめて本社にプレゼンに行ってきました。
本ゼミは基礎理論、サブゼミは具体的な活動という差はありますが、どちらも数人でアイディアを出し合い、ディスカッションを重ね、発表するというグループワーク形式。「ゼミ生がみんな広告業界へ行くとは限りません。でも、自分たちでプランニングすることで、自分の意思をうまく伝えたり、人の考えを汲み取るという能力を身に付けてほしい。それはどんな業界へ行っても役に立つはずです」というのが、嶋村先生の方針です。
これだけグループワークが多いと、相当忙しいのでは?「確かに忙しくはありますが、楽しいです。特にサブゼミは、自分たちでゼロベースから取り組んで、あれこれアイディアを出し合って作り上げることができますから」(3年・永井真之さん)。今年は企業のビジネスコンテストを自分たちで探してきて、応募しようと企画中なのだそうです。
パワーポイントの作成も勉強のうち。図版の探し方、デザインの仕方など、先生のアドバイスをもらいながら、回を重ねるごとに上達していく。
学年を越えた吸引力
サブゼミで作り上げた企画を発表するときなどは、卒業生も聴きにくるのが通例です。嶋村先生は「なぜか呼ばなくてもやってくるのよねえ」と笑いますが、卒業生に限らず、学年を越えたつながりの深さがこのゼミの持ち味のよう。最近では4年生が3年生のために、就活体験を語るイベントを開いてくれたとか。業種ごとにブースを作り、何月に何をやったという日程をひとりひとり詳しい資料にまとめて配布した、という面倒見のよさなのです。
3年の大沢史織さんは「嶋村ゼミの魅力は、メンバーの協調性にある」と言います。大手の広告会社のインターンをしたことがある大沢さん、そこで会った学生は「とても優秀な人ばかりでしたが、みんなが自分の個性を強調するばかりでまとまらなかった」のだそう。「その点、このゼミでは先生も仲間もみんな、相手のよさを引っ張り出そうとしてくれる。そこがすごいと思います」。
そんな嶋村ゼミの中心、嶋村先生ってどんな人? その答えは、2年生向けのゼミ説明会のために3年生が作った資料「ザ嶋ビジョン」のQ&Aコーナーから引用してみましょう。
「Q.嶋村先生はこわくないですか?」
「A.たわけものぉぉ!!こんなに学生に近い視点とノリを併せ持っていて、ゼミ生達を家族のように愛してくれる人は日本中探しても13人くらいしかいないでっせ!!」
なるほど! ゼミ生たちがOBOGになってもやってくる理由がわかる気がしますね。
3年・大沢 史織さん
年刊「ザ嶋ビジョン」。広告の研究室だけあり、まるで雑誌のような仕上がり?!