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ゼミ紹介

Seminar

運動と健康のよりよい関係を内科的側面から探る坂本研究室

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日常的な運動や競技スポーツにおける身体的な反応を、医学の中でも特に内科的な側面から探っていくゼミです。具体的には、たとえばどのように運動やスポーツを行うことが、健康あるいは競技記録を伸ばすうえで最も望ましいのかなどを研究します。そのために、最新の研究報告や論文を読んで現状を理解し、また身体的反応を調べるのに必要なメディカルチェックについても理論と実践の両面から学んでいきます。

研究室DATA

坂本 静男 教授
「演習I~IV(スポーツ医学(内科系))」(スポーツ科学部)
所在地:所沢キャンパス100号館

 

Work

「運動やスポーツを効果的に行うためには?」を研究します

 「スポーツ健康管理学」とは、何を研究するゼミなのでしょうか? 「適切な運動には、生活習慣病を防ぐといったプラスの効果が期待できますが、やり方と程度によっては逆に体にとってマイナスの影響を及ぼすこともあるんですよ」と坂本先生。うーん、わかるようなわからないような? 競技スポーツ選手の例でさらに詳しく説明していただきました。実はスポーツ選手は、そのイメージとは裏腹に、意外に不健康なケースがあるのだとか。「オリンピックの強化指定選手などは別ですが、アマチュア選手の中には、遠征費やシューズ、ウェアなどにお金がかかって、食事を十分に摂れていないことがあり、そのため貧血になってしまう人は少なくありません」。さらにスポーツ選手には、過剰なトレーニングのせいで慢性的な疲労状態に陥ってしまうオーバートレーニング症候群になっている人も多いそうです。また、一般の人、スポーツ選手を問わず、運動中の熱中症や突然死といった急性障害が起こってしまうこともあります。

 では、どうすればスポーツによって起こりやすい内科的障害を予防できるのか、運動不足と言われるような一般の人にはどんな運動をどの程度やってもらうのが最も効果的なのか――。それを内科的な側面から研究していくのが、この「スポーツ健康管理学」ゼミなのです。ゼミでは、運動やスポーツによって起こりがちな内科的障害や、逆に運動やスポーツが身体に与える有益な効果について幅広く学んでいきます。また、さまざまなメディカルチェック(医学検査)の方法や、そのために使用する機器に関しても知識と実践の両面から学んでいくそうです。具体的には、血液検査や尿検査、心エコー図検査といった一般的にも知られている検査から、潜水反射試験、自律神経機能検査、感情の状況を調べるPOMS検査などまで。最終的には先生の指導のもと、ゼミ生同士で実際に検査を行い、メディカルチェックを確実に「自分のものにする」のが目標です。

 ちなみに、早稲田大学スポーツ科学部には、坂本先生を含めて医師免許を持つ先生が7名もいるそうです。そのため、「解剖学や生理学、衛生学、精神神経学といった授業を受けることで、スポーツ健康管理学を研究していく上で必要な医学的な知識は、かなり取得できると思いますよ」(坂本先生)。

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「ゼミで最も運動をしているのは、実は坂本先生」という声も聞かれるほど、日々運動を実践している坂本先生。いつも使っている歩数計によると、毎日1万~2万歩も歩いているのだとか。

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実際の検査機器を使用して、メディカルチェックを学生自ら体験。こうした実験設備が充実しているのもスポーツ科学部の魅力です。

ゼミで学んだことは、将来にわたって役立ちます

 さて、ゼミとしての最終目標は、学んだ理論や体得した検査方法などを駆使しながら、各自で決めた卒業研究テーマの論文を作成することです。約半数の学生は何らかの競技スポーツを実践しているため、研究テーマにそのスポーツが登場する例が非常に多い点もなかなか興味深い!

 大学入学以前からハンドボールを続けているという久保龍太郎さん(4年)は、「ハンドボール競技での水分補給におけるパフォーマンス向上」をテーマに選びました。選手を「いつも通りの水分補給」と「正しい水分補給」を行う2群に分け、体力テストの結果を比較するというものですが、久保さんには「結果に差が出ないのでは...」という心配も。先生からは、「差が出なくても、出た結果から考察することが重要」とのアドバイスがありました。また、中高時代、陸上部で長距離走の選手だった古賀崇史さん(4年)は、記録が伸び悩んだ過去の経験に過労が関係していたのではないかと考え、「オーバートレーニングに関する調査」を研究テーマとしていました。

 非常にユニークなテーマを挙げていたのは、菱川兼人さん(4年)。「適量のアルコール摂取はパフォーマンスに好影響を与える可能性もある」という仮説を掲げて、「飲酒がアスリートのパフォーマンスに与える影響」を研究する予定とか。「多少お酒を飲むとよく眠れるのも、プラスの効果が考えられる」という菱川さんに、先輩が「飲酒後の睡眠は、一般的には質が低下するというよ」と指摘。一方、坂本先生は「アルコール度数が同じでも、飲む酒の種類で次の日の残り方が違うよね」と実感のこもった(!?)疑問をつぶやいて、場を和ませていました。こんなふうに、ゼミには真剣な中にも「和気あいあい」という言葉がぴったり。博士課程、修士課程の先輩たちは後輩の面倒見も非常によいそうで、懇親会も頻繁に開かれています。

 大学卒業後は、修士・博士課程に進んで研究を続ける人や、スポーツトレーナーの道に進む人もいるそうですが、一般企業への就職が大多数とのこと。ただ、学んだことに直接関わる職業に就かなかったとしても、自分自身や家族など身の回りの人の健康に習得した知識を役立てられるのもスポーツ健康管理学のよいところ。「運動と健康との関わりについては、国や自治体も正しい知識や指導の必要性を認識しつつある」と坂本先生。将来的には、人々の暮らしの中でさらに重要な位置を占める学問になってくると言えそうですね。

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この日は、ゼミ生と院生がそれぞれの研究テーマを発表。目的や実験方法のほか、自らの体験をベースにした仮説を展開する人が多く、実感のこもった説明に先生以下、みんなの興味を引いていました。

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ハートレートモニター(心拍計)は、腕時計のように装着して心拍数を測定、記録できる装置。消費エネルギーに関係する実験を予定するゼミ生に、「これを活用しては?」と院生のひとりが提案。エネルギー消費量は、心拍数から推定できるからだそうです。

Message

先生からのメッセージ

 
「体を動かすことは健康によい」ということはみなさん何となくは知っていると思います。運動は、ある意味もしくはある病気においては、薬を飲むのと同様の効果が期待できる場合もあります。また、部活のようにキツイ運動でなければ意味がないと思う方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。軽い運動でも、健康への有用性は十分あります。体を動かすことの大切さやどのように行えば効果が得られるのかなど、正しく知ってもらえたらうれしいですね。

先輩からのメッセージ

3年・宮本 駿さん
3年・宮本 駿さん
自分がけっこう太っているので(笑)、肥満に関する正しい知識を得たいと思ったことが志望理由のひとつです。卒論も「運動と肥満について」をテーマにしようと考えています。このように、学んだことを実生活に生かせる点もこのゼミの魅力ですね。あと、スポーツ科学部というと、スポーツのことばかり勉強すると思われがちですが、想像以上に幅広く学べて興味深いですよ!

先輩からのメッセージ

博士1年・金 鉉基さん
博士1年・金 鉉基さん
韓国で大学に通っていたときにスポーツ医学を学ぶ機会があり、日本の文献が非常に参考になったので3年前に来日しました。早稲田のスポーツ科学を志望したのは脂質代謝に関する研究がやりたくて、それなら坂本先生に師事したいと思ったからです。ゼミの雰囲気もいいし、楽しく過ごせています。選んでよかったですね。将来は、教える側として日韓の交流の懸け橋になれたらと考えています。

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