受賞経験、実用化実績多数! CG、音楽、認証技術などを扱う森島研究室
未来を志向する応用物理学科の中でも特に、映像・音楽コンテンツの生成や画像の理解といった身近なテーマを取り扱い、研究成果によって人々の幸福や安全を実現することを最終ゴールに定めています。学生は各人個別のテーマに取り組んでおり、研究レベルとして世界の頂点を目指しています。実用化を強く意識し、実際にゲームソフトやアニメ作品等に取り入れられている技術も多数存在します。物理・数学という武器を自在に操り、困難な問題解決に向けて日夜努力を続ける。そして、一方で懇親行事等で研究室メンバーの結束を強め、一丸となって目標に向けて走り続ける。それが森島研の日々の姿です。
Work
実際にゲームソフトに使われるような技術を学会で発表!
2005年の「愛・地球博(愛知万博)」、または長崎のハウステンボスで、来場者の顔を取り込んで映画に登場させるCG映画『グランオデッセイ』を見た人はいませんか? その映画で使われていた技術「フューチャーキャストシステム」を開発したのが、応用物理学科の森島繁生教授なのです。人の顔をスキャンして自動で解析、3Dデータ作成、シーンに合わせた表情に画像処理・・・というさまざまな過程を含むシステムで、高い評価を受けています。
ゲームソフトやアニメ作品に実際に取り入れられる技術を開発し続ける森島研。顔・表情のモデリング、人物の動作や布・液体等のモデリング、音楽・音声処理、顔などによる認証技術の4つのグループに分かれて研究を行っています。取材を行ったのは、毎月行われる4年生の卒業論文進捗発表の日。各プレゼンが終わると、「まず生データを見せてイメージを与えないと」「そこで動画を一時停止して、丸で囲むとか」「この例は、動いてた方が説得力がある」と先輩や先生から改善点がびしびし飛びます。研究室に配属されて半年強。この時点で研究内容だけでなく、効果的な発表方法にまで意識が向いているとは驚きです。この半年、どんなペースで研究してきたのでしょうか。
「まず最初は関連研究の調査とプログラミングの訓練から始めます。先輩と徹底的に論文を読んで、研究としてオリジナリティを出せそうなテーマを探して。勉強の密度は相当高くて、たとえば夏休みがちょっと短いとか(笑)あるんですけど、これをクリアすると格段に成長するんですよ」。その後は、夏休みの合宿を経て各自の研究テーマにまい進します。卒論といえども焦点は学会発表に当てていて、1月には学会に投稿するとのこと。森島研究室では、研究成果を先生の論文の中に取り込むのではなく、必ず学生本人が論文を書き、自分で発表します。年によっては提出者全員が審査を通ることもあるとか! ということは、海外の学会で自ら発表を行うわけですね。
「はじめはみんな英語に不安抱えて相当な準備して、でも行ってみるとその充実感はたいへんなものです。この人の研究すごいねーと普段思っている人物が目の前にいて、ディスカッションできたりするんですから」。当研究室は海外でも研究成果を発表し、受賞経験多数と聞いていましたが、4年生のうちにこんな体験ができるかもしれないんです!
ぬかるみを歩く人、氷の上を歩く人。状況によって変化する人の歩き方をを効果的にCGで表現するには? データを集め、分析します。
ドライバーの居眠りの予兆をどうとらえるか? 眉間にシワがよるのでは? あくびをしたときでは? ではあくびと、口を開けただけとはどう区別する? 居眠りによる事故を減らすための技術です。
美しさを追求する研究室
ゲームソフトやアニメ、音楽に興味のある人が集まる森島研。夏合宿でのイベントに、特筆すべきものがあるそうです。「自分たちのグループをアピールする映像作品を作って発表するんです。この出来栄えたるや、もう電通が作ってるみたいな、デザイン的にも完成度が高くてすごくおもしろいものを作ってくるんです」。先生も舌を巻く本気度のようです。もともと映像作品への関心が高い上にゲーム会社の人たちと議論する機会も多く、「何が美しいか」ということに常に意識が向いているというメンバーたち。応用物理という固い名称のイメージにおさまらない、美を追求する研究者、かっこいい! ゲームではファイナルファンタジーが好きという福里さん(4年)と岩尾さん(4年)に研究の目標を聞いたところ、「CGキャラクターの動きをリアルにしたい」「自分の研究も最終的にゲームの表現まで持っていけたら」とのこと。息を飲む、美しい表現の実現に期待です。
研究グループには、エンターテインメントばかりではなく、セキュリティ分野の研究班もあります。ドライバーの居眠りを感知するシステム、顔の経年変化を再現する捜査支援システムの開発など、こちらは同じ映像の解析でも実用寄り。映画などで昔の写真から人物を特定!というものがありますが、現実でも研究は進んでいるのですね。エンターテインメントは「それらしく見える」ことが重要ですが、20年前の行方不明者の写真から現在の姿を予想するという場合は精度が求められます。CGアニメと顔認証というと別物のように感じますが、楽しさを追求するか、正確さを追求するかという切り口の違いであり、研究としてはつながっているのです。
エンターテインメント表現と、セキュリティのための認証技術。ふたつの側面から画像や音声のデータを解析し、「人々の幸福や安全を実現すること」「ハッピーになること」(森島先生)を目指す森島研。あなたも研究でハッピーになりませんか?
先生を筆頭にスポーツ好き多数! ゴーカート勝負では先生がダントツ一位だったというエピソードも。先生はとにかく負けず嫌いで、「先生にはかなわない」と学生もたじたじです。