「環境」を考えるには「経済」抜きには始まらない。環境問題を現実的に解決する糸口となる「環境管理会計」

環境問題を語るとき、経済の側面を避けて通ることはできない。「エコのために利益を削る」のでは経営が成り立たないため、持続して環境問題に取り組むことは不可能になるからだ。企業が環境を保全しようとしたときにかかるコストと、利益を得ていくことを関連付けて評価・分析するのが「環境管理会計」だ。
研究室DATA
伊藤 嘉博 教授
伊藤 嘉博ゼミナール(商学部 会計コース 環境管理会計)
所在地:早稲田キャンパス11号館
Work
「会計」の色のない会計のゼミ
「管理会計」とは、企業が経営にあたってさまざまなことを判断するための会計情報のこと。細かい数字をたくさん扱うんですよね・・・?という先入観を持って先生にお話を伺うと、「実はあんまり会計っぽくないゼミなんですよ」とのこと。え、「決算書」とか見なくていいんですか!?
「もちろんそれをテーマにしたければ別ですが、ビジネスとのかかわりの中で環境問題を考えよう、提案やアクションを起こそうというゼミです」。
ゼミのテーマは、ゼミ生が日常生活を送る中で出てきた素朴な疑問から発展させるなど、実感に基づいたものが多いそう。最初は突拍子もなく思えたテーマでも、みんなで議論を重ねるうちに方向性が見えてくるという、チーム学習の醍醐味も味わえます。
また、毎年慶応大学商学部と「ゼミ早慶戦」を行ったり、プレゼン内容の学生の論文集への投稿を計画するなど、勉強した内容をゼミ内部だけにとどまらせない活動も行われています。「世に問えるだけの内容を作り上げていると思いますよ」。

お酒や音楽、文学などに詳しく、おしゃれな伊藤先生はゼミ生あこがれの存在!?
儲けを減らさずに環境負荷を減らす方法を考える
ゼミは「発表チーム」と、発表に対して鋭く突っ込む「オブジェクションチーム」とに分かれて進められます。先生の指導の方針は何ですか?
「座って調べるだけの勉強じゃダメだ、実際に話を聞きに行ったり、体験したりアクションを起こせ、と学生にはいつも言ってます」「自由な発想を大切にしたいから、テーマに縛りは作りたくないんです。『大丈夫かな~』って心配になることもあるけどね」。「先生は『こういう方面も調べてみたら?』と、可能性を広げてくれる存在ですね」と、論文制作を見据えて課題に取り組んでいる最中の林聡司さん。
商学部には「環境」を正面から取り上げたゼミはほかにはありません。「地球にやさしく」だけでは解決できない環境問題、ビジネスの視点から学んでみてはどうでしょう。

4年・林 聡司さん。「先生はいつも『俺、よく知らないんだけど』って前置きして、幅広い知識を披露してくれます(笑)」