その文化を社会化せよ!(後藤雄介ゼミ)
複合文化学科の受験を考えている皆さんの頭の中には、いまはポップなカルチャー?としての「文化」のことしかないかもしれません。まずはその「前提」をいい意味で崩してしまおうというのがこのゼミの目標です。なにも「文化」を捨てよと言っているのではありません。政治文化、経済文化と言われるように、世の中のあらゆる現象に「文化」はぴったり張りついています。「文化」のカバーする範囲はじつは皆さんが想像する以上に広いのです。まずはその広さに気づき、そしてあらゆる「文化」には好むと好まざるとにかかわらず社会的側面(その「飲食」物はどのような流通経路をたどっているのか?その素敵な「ファッション」はどこの海外工場で誰が生産しているのか?)があることを知ること──「あらゆる文化現象を学問にする」とは、つまりはそういうことなのです。
研究室DATA
後藤 雄介 教授(教育学部 複合文化学科)
複合文化学演習・複合文化学テーマ演習
所在地:早稲田キャンパス16号館818号室
Work
3.11以降の社会を再構築してゆくには、しなやかな想像力が必要です
2011.3.11の出来事は、これまで「あたりまえ」だったことが「あたりまえではなくなる」と思わせるに十分な衝撃を私たちに与えました。それはいまもなお続いています(続いてるはずです)。
地震・津波災害と原発事故は、「あたりまえ」の日常のありがたさを再認識させると同時に、その「あたりまえ」が、その「あたりまえ」の上に乗っている「文化」が、じつはいかに儚(はかな)く、また、ともすれば不公正・不正義な「社会」によって築かれてきたことが明らかになりつつあります。しかし、それにもかかわらず、日本の「社会」はこれまでどおりの「あたりまえ」をただ復旧、もしくは変質・劣化させんとするがごとくであり、そのように世論を誘導するかのようなマスメディアのあり方に対しても違和感を覚えざるをえません。
担当者の関心は、従来より世の中で「あたりまえ」とされていること全般を問い直すところにありましたが、上述のとおり、3.11以降のキーワードはより一層「社会」に傾斜しており、「文化」はいわば「二の次」になりつつあります。実態に則すならば、本演習は「複合社会演習」と呼ばれるべきかもしれません。
よって、3.11の以前・以後にかかわらず、自分にとっての関心・キーワードはじつは「文化」ではないのではないかと思い始めている人は、この演習で自分に適したテーマを見つけることができるかもしれません。また、アメリカ大陸ほか海外の社会問題に興味がある人もおおいに歓迎されます(担当者の本来の専門はラテンアメリカの歴史です)。外国語(スペイン語に限らない各専攻語かつ/または英語)をぜひ卒論で活用したいと考えている意欲的な人であれば、なお望ましいです。
アフター・ゼミの一光景──ゼミの延長戦としての気のおけない語らいの場が、いまほど貴重に思えることもありません。こうした「日常」を一日もで早く取り戻せる日が来ることを願ってやみません。
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このゼミを目指すキミに先生オススメの本
世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド
村上春樹(新潮社、1983年[文庫版あり])