法律を学ぶ上で欠かせない 人を知り、理解する姿勢を大切に

法学は、社会科学の中でも特に、「人」に焦点を当て、「人」を科学する分野ですが、私が専門とする会社法も同じです。
会社法は会社の設立、組織、運営、管理について定める法律です。
会社には、運営、管理するための組織が置かれ、そこにはさまざまな立場の「人」が集まって成り立っています。会社の関係者は、経営陣や株主、従業員、銀行などのお金の貸し手、取引先、顧客など多岐にわたり、こうした関係者の利害を調整することが求められます。
そして、会社をとりまく多数の人、一人ひとりに人生があります。
そこに気づけば、一見堅苦しく思える会社法が違ったものに見えるのではないでしょうか。
大勢の人からお金を集めて大規模な事業を行い、そこで得た利益を出資者に分配する株式会社の発想は、17世紀の東インド会社の頃にも存在していました。
現代社会の経済活動を支える基本的な仕組みとして、会社法を学ぶ意味は大きいと思います。
法学という学問にみなさんは大学で初めて触れることになりますが、高校までの教科で得られる知識は大いに役立ちます。
なかでも「数学」の「論理的思考」は、法的思考にも通じ、極めて重要です。
また法学部で具体的な事例に触れるたびに「事実は小説より奇なり」を実感することでしょう。
だからこそ古典や現代の文学に触れて、時代を経ても変わらない「人間の本質」を知ることも、学びの助けとなります。
これまでの人生で接点がなかったような多種多様な人と出会えることが早稲田の魅力です。
法学を学ぶ上で大切な「人」そのものへの関心を強く持ち、視野を広げられる環境があります。
培ってきた視点を持ち寄って皆で議論を膨らませ、それによってさらに自分の幅が広がる、その好循環の中で探究を深めてください。